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目次 


~長編小説~

先生の調教 生徒×先生(連載中)

, , , , , , , , , 10,
11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20,
21, 22, 23, 24, 25, 26, 272829  30
313233343536        
番外編 


極秘家族 総主攻め (連載中) 

 


I'm  growned  to  you大学生×リーマン(連載中)

6


俺のもの 弟×兄 (完結)

, , , , 

お節介 ショタ受け (完結) 

, , , ,  番外編

いたずら 先輩×後輩 (完結)

, , , , 7、 1011
番外編  

______________________________________________________________________________
~シリーズもの~

家に帰ったらシリーズ
高校生編     サラリーマン編

________________________
~読み切り小説~

春の訪れ     和服     雨宿り
遠く離れて     早起き     お兄ちゃん
めがね     捨て犬には気をつけろ     肩の重み 
笑って・・・?     YOU ONLY     一歩を踏み出せば・・・。
すきだから     死んだら愛さない     苦しいほど    
わかってた     昼下がり     後姿
暑いけどね・・・ 前篇  後篇
現実は甘くないよ・・・。     離れ離れ     なんだかんだで・・・
君の生まれた日に感謝     それは、秘密で     
意地っ張りは健在です  前編  中編  後編 
雨が降り出したら     冬のある日     思いが言葉になるとき

________________________
~イベント小説~

大晦日      2014 12/31
成人式前夜(2015)
初詣      クリスマス
2014Christmas


バレンタイン企画2012

バレンタイン2014    ホワイトデー2014      バレンタイン 2016

4月1日(2012)
告白の日(5月9日2015)

________________________________________________
記念小説

1000HIT記念小説      2000HIT記念小説
3000HIT記念小説      4000HIT記念小説
5000HIT記念小説      1万HIT記念小説
2万HIT記念小説        3万HIT記念小説
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テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

まぶしくて見えない、みたくない  読み切りnovel

まぶしくて見えない、みたくない

(片思い男子の失恋と葛藤)


俺の好意は伝えていたし、伝わっていたと思う。
それでも、君は俺に優しく接してくれたし、連絡も取り続けてくれた。
どう考えても脈があると男同士なのに勘違いしていた。

「なぁ知ってるか?あいつ、好きな女にアプローチしてるんだけど、上手くいきそうらしいぜ」
「へ、へぇ!くそぅあいつもついにか~・・・だれよ?」

頭が真っ白になるのがわかる。なぜ、ほかのやつを好きだって気づけなかったんだろう。
ちゃんと君を見ていたはずなのに。

「地元の子だってさ、この前インスタのせてたろ?」
「あぁ、でも付き合ってないって」
「見込みあったからのせたんじゃね?やりてだよなー」

好きと思われているその子がうらやましい。君が堂々と好き伝えられるその子が憎らしくて、妬ましい。
ただただ羨ましい。

いま俺の頭にめぐる言葉はすべて、君を罵る言葉や蔑む言葉、そしてその子を否定する言葉だ。
そして、それらの言葉は、めぐりめぐって、俺自身を否定してくる。
どうして、俺じゃないのかと。

「幸せになってほしいよな~、アイツすぐ愚図な女につかまるからな」
「そうだな、俺にもわけてくれ~幸せ」
「それな~」

口では幸せになんて思っているが、心ではそんなこと一ミリも思えなかった。
そんな俺をしったら君はどうおもう?まわりの人たちは?

君と同じように恋をして好きという気持ちが生まれたのに、この思いは交わることもなく、
行き場を失った。

「お前って好きなやついるっていってたろ?」
「あ、あぁ」
「伝えたん?」
「いや・・・、彼氏いたんだよ」
「奪えって!」

伝えない思いや、奪おうとしないなんて、そんな程度の気持ちだと誰かがいった。

俺の気持ちは所詮その程度なのかもしれない、でもそうでないかもしれない。
それでも、目頭が熱く、目の前がみえなくなってくる、この溢れ出すものが
簡単に諦められないほどの思いだったといわずになんというのか。

思えば思うほど、君との距離が離れた。前みたいにと思うほど、ぎこちなくなる。

「おっと、噂をすればだぜ」
「ほんとだ

「おーい!まってたぜ!」
「ん?」
「報告!俺付き合うことになりました!」
「聞いたって!!おめでと!紹介しろよ?」
「今度のやすみな!」


俺はいま笑えていただろうか、声は震えていなかっただろうか。

その子のことを話す君は見たことのない笑顔とテンションだった。
その子なら君をここまで明るくさせることができて、喜ばせられるのかと。
元気にさせられるのかと。

君がまぶしくてみえない、みたくない。

もう、見るのがつらい。


だから、君が俺をみてまぶしくて、みたくないというまで、時間をください。



まぶしくて見えない、みたくない。完





極秘家族7

極秘家族 7

カズトを寝かしつけ、リビングにナツミは戻った。

「テルは?」
「茶のんで帰った」
「あのひとココがなんだと思ってんの」
「あと、これ」

そういって渡されたのは、札束。

「はー、今度はもっと持ってこさせよ」
「毎回そうなんだから、ケチケチすんなって。ほら報告会だ」

夕飯前になると、報告会をすることになっている。
今日来た子の世話をする人を決めたり、今いる子の異変などを報告するのだ。

保護、育成をメインに行っているのは弟のリクであり、
性犯罪者等の更生をメインに行っているのが、兄のマサキである。

この統括を行っているのが、ナツミなのだ。

r:「今日は新規2名。新規はナツミに担当してもらう予定です」
m:「新規はいいとして、ほかにも仕事があるだろ?」
r:「最近、安定してきているので、ほかは俺が見ていく予定です」
n:「あとは4年目の子当たりに、手伝ってもらおうか」
m:「よし、じゃあこっちだな。新規4名。うち1名は親族からの更生要請」
n:「え?親族?」
m:「さっき裏業者が連れてきた。金はこの通り。」
r:「金じゃなくてさ、ここから出れないの知ってるでしょ?」
m:「だからだよ。親族はそういうのを隠したがり、恐れた。」
n:「新規多めだけど、一人でいけるの?」
m:「だから頼みたかったんだけどさ、今日は多いからな。」
n:「明日の朝一で始めようか」
m:「じゃあ今日中に準備しておく、面会は今からでいいか?」

いつもはトータルで3人いるかいないか、なのに今日に限って人数が多めだった。
入念な準備を行ってから、面会を本来ならおこないのだが、今回はすることのできないまま、
地下へ向かった。


「こんばんは」
「君は僕の好みじゃないな~、もうすこし、清楚さがほしいね」
「ごめんね、夕飯まですこしお話ししようか」
「そうだねー君のスリーサイズを教えてくれたらいいよ」
「名前は?コウジくんね」
「スリーサイズ・・・」
「ストーカー、盗撮、脅迫、強姦何回も繰り返してる」
「スリーサイズ!!」

執着、豹変性ありっと。あらら、精神障害ありって書いてある。
だから、ここにおくられてきたってことか。


「スリーサイズは君の想像通りよ、きっと」
「ふーん、ねぇ、あの女どうなったの?死んだ?」
「気になる?」
「壊れたおもちゃはいらない」
「そう、君が壊したのよ?」
「なにがいけなかったんだろ」

モテそうな顔立ちで、不自由なさそうなのに。
残念な子・・・なんて簡単に割り切ってしまう時点で私もイカレテいるのだろう。


「そうね、自分で試してみる?」
「・・・え?」
「私、あなたの壊れたところ見てみたいな?」
「僕で?」

先まで精神障害者の振りをしていたのだろうか。
そう思っているほどの、変わりよう。
そのうえ、動揺がすごい。

「君じゃないの?」
「ちがうよ。コウジくんの壊れたのがみたい、あなたが壊したように」
「・・・」
「じゃあね、ご飯はきっと君の好きなものよ」


少し体が震え、瞳孔が開いているのが分かった。
そして、手に力が入ってる。揺さぶりをかけるのに成功したかな。

なぜここに来たかを理解してから、被害者と同じ目に合わせなければ意味がない。

目には目を。歯には歯を。

これがココの方針である。
被害者の気持ちが楽になるわけではない。
再犯を減らす目的でやっているが、それがすべてとは限らない。

「さぁ、また面会いきますか」



______

7話完



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極秘家族 6

極秘家族 6



断ることもできずに、マツイカズトという男を引き取ってしまった。
良い思いをさせてやれと言われても、嫌がっていたら強要することはできない。

かといって、無視するわけにもいかなかった。

「あーあ」
「…こっちがあーあだよ」
「良い思いって快楽を与えることがすべてじゃないでしょ?」
「たしかにな、でも上書きするしかないんだよ」
「・・・」
「俺がやってやれるならやるけど、俺にはできないから」


兄には人知れず、悩んでいるようだ。
昔に、ナツミに秘め事を任せてからは、兄はかかわらなくなった。

でも風呂にいれさせたり、買い物を覚えさせたり、生活していくことを学ばせるには、
兄が一番、向いているとおもう。


「いいって、今日の夕飯はよろしくね」
「あぁ」


カズトが眠る部屋に向かった。
扉の外には、物音ひとつ聞こえてこないということは、今は眠っているのだろう。

「はいるよ」

そう声をかけてドアを開くと、布団に包まって丸くなっているカズトがいた。
心なしか、涙のすすり声と、布団が震えているのがわかった。

声をかけるのも、戸惑ったが、部屋の電気をつけゆっくりと歩み寄った。
そして、ベットわきの椅子に腰を掛けた。

「・・・起きてる?」
「・・・」

先ほど暴れていた人間とは思えないほどの、おとなしさだった。
すこし、薬の効果が抜けてきているのかと考えていた。

「水くらい飲まないと・・・起きられそうならおきて」
「・・・出ていけ」
「・・・でていったら水飲む?」
「水なんていらない」
「じゃあでていかない、」
「・・・なんか入ってんだろ」

ちゃんとした思考も働き始めているようで、ナツミにまで疑いを持っていた。

「・・・これ私が飲んだら、のむ?」
「・・・」
「それでも飲まないなら、ここからでていかない」

きっとのどはカラカラのはずなのだ。
汗もたくさんかいているし、水を飲むタイミングさえないはずなのだ。

「・・・のんでみろ」
「こっちみて」

そういうと、布団の隙間から、こちらを見た。
その隙間にからは、疑い、恐怖、不安・・・ネガティブなものが伝わってきた。

ナツミはこちらを見たのを確認すると、持ってきた、水を口に含んだ。

「・・・ほら、平気でしょ?のむ?」
「のむ」

水を手渡すと、布団に隠れていたことも忘れたように、一気に水を飲みほした。
そうとう喉が渇いていたのだろう。

「もっといる?」
「・・・平気」

そうひとこというと、また、布団に隠れてしまった。

「まだいるなら、ここに置いておくからね」
「・・・」
「トイレとか平気?」
「・・・」
「おなか減ってない?」


問いかけても、問いかけても何も答えはかえって来なかった。

「・・・ここから出してくれ」
「よくなってからね、そのためにはご飯食べなきゃ」
「・・・いらない、俺とあんたは赤の他人だろ」
「弟さんは見つからないよ」
「!!!」


ここからはやく出たい理由をあてられ、おもわず布団から飛び起きた。
さきほどとはちがい、怒りを感じる目をしていた。

弟にお前がなにかしたのかと言いたげな目だった。

「弟さんは、たぶん私の知り合いの敵対する組の下っ端だよ」
「あいつはそんなやつじゃないんだ!騙されてるだけなんだ」
「そうかもしれない、でもねいまは会えないよ」
「あんたのせいだろ!」
「ちがう、彼は捕まったよ。さっき連絡が入った」
「えっ」

彼は少しずつ自分のことを話し始めた。
自分の家庭環境が複雑だったこと、家族の稼ぎを自分が担わなければならなくなったこと。
そのとたん、弟が非行に走ってしまったということ。


「そっか、カズトも苦しかったね」

そういって、肩に手を置くと、急に先ほどまで心を開き始めていた様子が一変し
やめろとその手を払った。

「やだ・・・くるな」
「どうしたの?」
「きもちわるい、」

具合でも悪いのかと、尋ねると首を横に振る。
それでも、ずっと気持ち悪いといい続けた。

「はきそう?」
「きもちわるい・・・おれは、きもちわるい、んだ」
「・・・」

どうしてとも、そんなことないよとも言えなかった。
こんな風に自分を受け入れられない人に慰めの言葉は崖から背中を押すようなものだった。

ただ、やっと声にだしてくれたその声に耳を傾けることしかできなかった。

母親の再婚相手にdvを受けていたこと、身体的、精神的、そして性的にも。
その標的がカズトであり、ある日その現場を弟にみられてしまったことをたどたどしく、話し始めた。

「だから、弟は俺が汚らわしくて、きもちわるいと思ってるんだ」
「ご両親は?」
「離婚したよ、俺のせいで」

カズトは自己評価が限りなく低いと気づいた。
そういう環境で育ったためといってしまえばそうなのだろうが。

ナツミは思わずカズトを抱きしめていた。
恋愛感情が芽生えたわけではない、ただの同情というわけでもなかった。

こうでもしないと、彼がどこかに行ってしまいそうだった。

「いまだけは自分のことだけを考えて」

そう伝えるとナツミをカズトの服をぬがし始めた。
dvの傷がいまだ、痛々しくのこっていた。

「・・・よいしょ、傷に薬ぬるよ?」
「・・・」

性器周辺には新しい傷のほうが多く残っていた。
やはり、無理やりやられたのだろう。

「・・・しみる?」
「へいき」
「よかった」

薬を塗っている間、赤子のように丸くなり、震えているのが分かった。

「おもったより、傷が深くないし、よかった」
「・・・」
「体調はどう?頭いたいとか、おなか痛いとか?」
「へいき」
「じゃあ、今日はここまでにしようか、もうすこし休んだら、みんなに挨拶に行こう」


「俺なんか・・・」
「あんたと同じような人は意外と多いよ」
「何がわかる!」
「・・・わからないから、話してほしい、つらいっておもってることさ」
「偽善者ぶるな」
「そうですかっと・・・出ていきたいならでていきな」
「・・・」

出ていかないことだってわかっていたからこそ、こういうセリフをいう。

自分のほうがひどい目に合ってるとか、そこまでひどくなかったなんて比べちゃいけない。
酷いなんて感じるのはひとそれぞれだから。


「ここにきてる子のに話を聞いてみてもいいよ、きっとあなたの悩んでることが解決するかもしれない」


そういって、彼に服を着せた後、ベットに寝かしつけた。

眠りについたのを確認するとナツミは部屋を出た。


6話完

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あなたしか

あなたしか見えなかった。
あなたしか愛せなかった。


「中村さん、今日はもうそろそろ戻りましょう?冷えてきましたし」
「あぁ、死にぞこないには冷えは応える」
「何言ってるんですか、こんなに元気じゃないですか」
「もし死んだら、近くの海か川にでも灰をまいてもらおうかね」
「・・・お墓はいいんですか?」
「身寄りもないしなぁ」
「・・・ねぇどうして結婚なさらなかったんです?」
「さぁね、モテなかったんだろう」
「えぇー、うちのばあちゃんがモテモテだったっていってましたよ!」
「見る目がねーんだよ」



もう何年・・・何十年も昔。たった一人、本気の恋をした人がいる。
それは愛とも呼べないほどの醜く、未熟で、それでも純粋な恋だった。



「ねぇ、ふみ?」
「・・・ん?」
「これ・・・」


そう言って俺を呼ぶ愛しい人、みのるが見せてきたのは、赤紙。
死を宣告されることに近い紙だった。

俺らのまわりの奴らはほとんどが敵地へ駆り出され、十代のうちに命をお国のために
散らせていった。

俺らまで駆り出されるということは、日本はもう負け戦をしているようなものなんだと、
みなわかってた。それでも非国民というレッテルを張られないように、家族のためにも
戦争へ賛同していかなければいけなかった。

平成の世も環境は違えど、同じなのかもしれないと90過ぎまで生きて感じた。



「…なんでうれしそうなんだよ」
「へへっ、だってふみと一緒にいれる」
「そうとは限らないだろ?」
「・・・お国のために戦ってるって思うだけで、俺はふみと一緒にいる気がする」

2人の10代にして初めての恋であり、禁断の恋でもあった。
男同士というのもそうだが、恋愛になどうつつを抜かしているなんで誰が許していただろうか。

「みのる結婚の話がでてたろ、どうするんだ?」

いままで、こういう話題から避けてきたが、意を決して尋ねてみた。

「断られたよ、相手のご両親からさ・・・俺が生きて帰る証ははないからね」
「そうか、未亡人にしちまうもんな」
「まあ、おかげで結婚しなくてすんだ」
「・・・」

誰もいない河川敷、家、防空壕。不謹慎ながらも、人知れずお互いを求めた。
欲を満たすためではない、お互いが生きている・・・生きていたことを実感していたくて。
互いの体に刻んでいくことしかできなかった。

儚いお互いの未来を今という現実のなかで、居場所を探していた。

「・・・この戦争がおわったら二人で、暮らそうか」
「暮らしてくれるの?」
「みのるがいいなら」
「いいに決まってる・・・!」

そんな叶う見込みもない話をしたのが俺らがあう最後の夜だった。

翌日家族近所の人に盛大に見送られて、結局違う部署へ配属された。

何か月も、しないうちに戦争がおわるかもしれないといううわさが流れた。
もしかしたら、生きて帰ることができるかもしれない!と淡い希望を抱き始めた矢先。

「お前めずらしく、手紙来てるぞ」
「はい、ありがとうございます」
「そういえば、○○部隊は今日でみんな敵陣へ突っ込むらしい」
「そうですか」

周りの隊員の話を聞き流しながら、その封を開けた。


「ふみからか、めずらしいな」
「・・・・なんて?」
「・・・今日突っ込むそうです」
「○○部隊だったか」


そこにはこう記してあった。

『ふみお殿
このたび敵陣への出陣を命されました。きっとこれが届くころには出陣の日を迎えることでしょう。
募ることはたくさんありますが、出陣前にお会いできなかったこと、声が聴けなかったことだけが心残りです
どうか、生きて。また、お会いしましょう みのる』


中身をチェックされるため、よくある文しか書くことができなかったのだろう。
精いっぱいのみのるなりの後悔と、希望が書かれていた。

みのるが行くなら俺もそろそろ、出陣だなと意気込んでいた。
しかしその2週間後戦争に終止符が打たれた。

戦地にも行かずに、のこのこと俺は家に帰ってきた。
家は跡形もなく焼けていて、家族を探しても、友人を訪ねても、だれも生きていなかった。

腹が減り死にそうなところを保護してくれた人がとてもいい人で、その人のつてで、役所で働くこともできた。
戦争孤児とならずに、つらい目に合わずにいられたのも、その人のおかげかもしれない。

ここから先はきっとみなが想像している世界となんら変わりないだろう。

風のうわさで、○○部隊は生き残り無しときいた。
俺は、嘘だともおもわず、受け入れることができた。

ひょいと顔を出すんじゃないかと待っている自分もいたのも事実だ。

半世紀も過ぎれば、戦争を知らない人たちが出てくる。
知らない世代のために映画、ドラマが盛んになり始めた。

そんななか、戦争当時の研究をしているグループから電話がかかってきた。
「神田みのるさんをしっていますか?」



そう受話器からはっきり聞こえたのを覚えている。
しかしそこからの記憶はまるでない。


久しぶりに聞いたみのるの名前に動揺を隠せなかった。
そして、彼は戦死していたことを正式に告げられた。

その電話から数日が経ちその人たちと会うことになった。

数人の学生と教授らしき人が自宅にやって来た。

「お電話しました、○大学の研究グループのものです」
「どうぞあがってください」

そう言って一人、お茶の用意をし始めた。
構わないでくださいと奥から声がしたが、そういわれても、出すのが常識というものだ。
そして、お茶をもっていき、ソファーに腰を掛けた。

「すいませんね、なんせ一人なもんで」
「いえ、片付づいたきれいな部屋ですよ」
「よく、昔はおこられたものです、片付けろと」

昔といっても、本当に昔のことだ。

実はお渡ししたいものがあり、伺いました。と木箱を渡してきた。

「開けても?」
「どうぞ」

そのなかには汚いというか、日焼けしてしまった手紙がいくつも入っていた。
中には泥や血のついているものもある。

しかし、あて名はどれも書かれていなかった。

「これは?」
「…すべてあなたにあてたものだと思われます」
「・・・」

そのなかの一つを開けてみた。

『中村ふみお殿
はじめてこの部隊に配属されたとき、お前と一緒じゃないことにうれしさを覚えた。
お前と一緒にいたら、お国のために戦えないと思ったからだ。お前と生きていたいと思うからだ。
今日もまた、仲間が戦地に送られた、家族がどうなっているかも気になるが、ふみも心配です。
それではまた。 神田みのる』

『中村ふみお殿
今日は戦争中とは思えないほど、平穏な日を過ごしています。
戦争じゃない世界を知っているわけではないけれど、きっとこんな日をいうんだろうと思います。
そういえば、今日はふみの生まれた日ですね。私と出会ってくれたことに感謝します。
神田みのる』

毎日の日記のような内容がつづられていた。
きっと俺に送るつもりのない手紙だったのだろう。

配属されてから出陣するまで毎日書いていたようだ。


「これをわざわざ?」
「・・・本当は歴史遺産として展示するはずだったんですが、神田さんはそれを望んでいないのではとおもいまして」
「なかなか、見るに堪えない内容ですしね」

そう苦笑いしながら相手方の顔をみる。
そしてこう続けた。

「みなさんもお分かりの通り、私たちは恋仲でありました。」
「・・・」
「あの時代からもう何十年とたちますが、彼の顔が色あせることがなくて困ってますよ」

みのるからの別れから実に50年が経っていた。
ほんとうなら、忘れているのが普通なのに。

いや、忘れているというのは本当だと思う。
なにしろ昔は目をはらして、泣きじゃくっていたのに、いまはそんな涙もでやしない。

「彼は約束は守る義理堅い男でしたよ、でも最後の約束は破った」
「・・・あのこれをみてください」

一番血だらけで、汚れた手紙、読むことができないくらいだ。


「これを復元させました、よかったら」

『いまね、飛行機の中だ。一緒に日本をでたやつらも、みな撃ち落されてしまった。
羽がやられて、今にも落ちそうだ。ふみ約束果たせそうにない。すまない。ふみはいい人を見つけて幸せになるんだ。
来世でまたお前と・・・』


そこからさき読めなかった。
みのるを思い出してしまって、あのときの記憶が鮮明によみがえってしまったから。

大事にとってあったそうで、これだけ焼けずに残っていたのは奇跡だといっていいほどだった。

「遠いところからわざわざありがとうございました」
「いえ、これを届けることが使命ですから」

そうにこっと笑った顔がどこか、みのるに似ていた。

「もしかして・・・」
「はい神田みのるの妹の孫です」
「そうですか、おばあさんは元気されていますか?」
「はい、腰はまがってしまいましたがね」


そういって、彼らは手紙を残して、家から出て行った。

「・・・・みのる、結局俺はお前しか愛せなかったよ」


______

「これも一緒に燃やしてくれよ?」
「え・・・でも大切なものでしょ?」
「だから余計にね、こんなよぼよぼのじじいになっても気づいてくれるかね」
「大丈夫ですよ、きっとずっと見守っててくれてたんでしょうから」
「そうだといいけどね」
「えぇ、」
「今日はなんだか、ゆっくり寝れそうだ」








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Author:桐島 蓮月
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